第3期生 2000年3月卒業



卒業生名

山口研究会第3期卒業生の諸君へ

自筆署名

約束を守る

 諸君、卒業おめでとう。君たちが気づいているかどうかは別にして、ここまで到達できたのはご両親をはじめ実に多くの人々のお陰である。この点を常に謙虚に思い起こしてほしい。また、諸君の卒業を誰よりも喜んで下さるのもご両親だということを忘れないでほしい。
 さて、社会人になる諸君に対してこの機会に先輩として一言いっておく。それは「約束を守る」ということである。君たちから見ればこれは当たり前に見えるかもしれない。しかしこれを実行することが実はかなりの意志と覚悟を必要とすることにすぐに気づくはずだ。約束の相手は社会かもしれないし、友人かもしれない。しかし、一旦約束したらそれを自分の都合に優先させることである。
 諸君が社会人になると、学生時代には想像もできなかったような多忙な日々を送ることになると思う。しかしどんなに忙しくても、仕事で約束した提出期限は守る、これが諸君が社会で信頼を獲得する第一歩である。また、残業やそれに続く飲み会なども日常化するかもしれない。土曜、日曜は家で寝ていたいであろう。そうした中でクラス会など友人との集まりもある。どうしても仕事を優先し、ついつい出席の返事を出しながら無断欠席してしまう。
 ここで是非考えてほしいのは、約束には相手があるということである。相手もいろいろ事情がある中で、自分の都合を後回しにして君たちとの約束を守って仕事を期限内に仕上げ、クラス会にも出てくるのである。そうした中で、諸君が多忙を理由に自分の都合で約束を反故にしたら、信頼を失うことは目に見えている。
 とはいえ、冠婚葬祭など諸君がコントロールできない事情でやむを得ず約束が守れなくなることは間々ある。このとき大切なことは、必ず事前に相手に事情を話して了解を得ることである。諸君との接触を通して小生が感じることは、君たちには報告の大切さが本当には分かっていないと言うことである。約束に限らず、相手に何か頼んで相手から何の連絡がないということは、実に不快な気分になるものである。この点、諸君は常に相手の気持ちになって考え、どうしても約束の履行が不可能になったら、直ちに相手に報告・連絡することである。
 以上、大変月並みなことであるが、約束をきちんと守ること、これが諸君の会社や社会での成功の第一歩であることを重ねて強調してお祝いの言葉とする。諸君の活躍を陰ながら応援すると共に、毎年1月のゼミ会での再会を楽しみにしている。

北京のホテルにて 2000年3月17日


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