山口光恒研究会 卒業生の諸君へ

第4期生 2000年3月卒業



卒業生名

自筆署名

感謝の心

 諸君卒業おめでとう。また、この日を待ち望んでおられたご両親或いは保護者の方にも心からお祝いを申し上げる。諸君のお陰で小生も張りのある毎日を過ごせた点お礼を言いたい。これからは先生と学生ではなく諸君とは友人の関係となる。
例年のことながら、卒業に際して一頃言っておく。
 それは「感謝の心」である。若いうちは、というよりも年をとっても人間は自己中心的な生き物であり、何かうまくいくと自分の能力によるものと錯覚し、失敗した場合には他人のせいにし勝ちである。しかし世の中は自分一人で成り立っているのではない。諸君がここまでこられたのは多くの人々に支えられているからである。成功したときは他の人の助力があってのことと言う感謝の気持ちを忘れず、失敗したときには自分の努力不足を反省すべきである。
 諸君も経験していると思うが、他人にちょっと何かしてあげた場合、心から感謝されると更に何かしてあげたくなる。逆に何の挨拶もないと、なんだという気持ちになる。これはつまらないことのようだが、日頃から他人に感謝する気持ちをもっているかどうかがこういう場面で表れるものである。ひとにお礼を言われて怒る人は居ない。諸君はこれから社会人として常に相手の立場で考えることが必要である。これまで2年間諸君と接してきて、場合によりこのことが分かっていないと感じたことがある。この原因を突き詰めると、結局自分のことばかり考えているからである。  諸君は自分が他人からして貰いたいと思うことを相手に実行する人間になって貰いたい。諸君にはこの点に敏感になって貰いたい。
 「感謝の心」。小生自身の自戒を込めてこの言葉を諸君に贈る。この気持ちを忘れずに、慶應の卒業生として胸を張って社会に巣立って欲しい。
  たった2年間ではあるが、小生は全力で諸君の能力を引き出したつもりである。苦しいときは清華大学での経験を思い出して欲しい。明るい未来に向けて諸君の成功を確信しつつ筆をおく。
 三田の研究室にて           2001年3月19日